プラスチック成形 ⽤語集

あ行

圧空成形法
pressure forming
シートの熱成形法の一つ。シート上より、圧縮空気でシートを型に押しつける成形法。 数気圧の圧縮空気を使用するため、真空成形に比べて成形圧力が高くなり、型の再現性に優れ、背の高い深絞りの成形品が得られる。
型締力
mold clamping force
充填時の成形材料の圧力に抵抗して、金型を閉じておくために金型に加える力
圧縮比
compression ratio
スクリュの供給部の一つのねじみぞを構成する空間容積(V2)と計量部の一つのねじみぞを構成する空間容積(V1)との比V2/V1。
アンダーカット
undercut
金型から成形品を取出す際に、成形品を変形させるか、特殊な金型構造を使わなければ金型から成形品が抜けない成形品の部分。
アイゾット衝撃試験
izod impact test
試験片の一端を固定してハンマーで衝撃破壊したとき材料に吸収されたエネルギー量を測定する試験。
インサート
insert
あらかじめ金型の中にセットしておき、成形後成形品に埋め込まれる金属などの部品、またはその操作。
インジェクションブロー成形
injection blow molding
射出成型により底のあるパリソンを成形し、次にパリソン中に空気を吹込んで中空成形品を作ることをひとつの機械で行う方法。射出ブロー成形ともいう。
インフレーション成形
blown film molding
押出機でダイからチューブを押出し、この中に空気を吹込み、ふくらませてチューブ状のフィルムを作る方法。
ISO
ISO
International Organization for Standardization(国際基準化機構)の略。
ウェザオメーター
weathero meter
プラスチック材料の耐候性の試験を行う試験機。カーボンアークからの強い紫外線と熱、水噴霧により劣化を促進させる。
エンジニアリングプラスチック
engineering plastics
汎用プラスチックに対し、物性的に優れた材料。ギヤ、カムや機構部品に主に使われる。
青棒
green rouge
酸化クロムと油脂とを譲り合わせた研磨剤。クロムメッキ、ステンレス鋼表面、硬化鋼など、比較的固い素材の研磨に適している。
アキュムレータ式ブロー成形機
accumulator type blow molding machine
吹込成形において、たれ下がりによるパリソンの肉厚不均一を防止するために、たれ下がりを起こさないよう、短時間のうちにパリソンを押出す目的で使われている成形機。原理は押出機で可塑化された材料をいったんアキュムレータに蓄積し、プランジャーで一気に押出してパリソンを作るもので、大型製品の成形や、溶融粘度の低い材料等に適している。
圧縮成形
compression molding
成形材料を金型のキャビティに入れ、圧力と熱を加えて成形する方法。熱硬化性樹脂に主として用いる。
圧縮強さ
compressive strength
圧縮によって試験片が荷重で破壊するときの最大荷重を試験片の断面積で割った値。

か行

可塑化
①plastication  ②plasticization
⓵プラスチックを加熱、混錬して成形可能な状態にすること。⓶プラスチックに可塑剤を加えて軟らかくすること。
顔料
pigment
無機質又は有機物の有色固体粉末で水や溶剤に溶けない着色剤の総称。無機質のものを無機顔料、有機質のものを有機顔料という。
可塑化
plasticization
成形材料を軟化させ、流動しやすくすること
キャビティ
cavity
金型で成形品が成形される雄型と雌型によってできる空間部分のこと。又、雌型の面をいうこともある。
ゲート
gate
射出又はトランスファ成形の金型で溶融した成形材料をキャビティへ注入するための注入口。
ゲートバランス
gate balance
射出又はトランスファ成形用多数個取り金型で成形材料が各キャビティに同時に充てんされるようにキャビティ・ランナの配置や、ゲートの長さ・断面積を調整すること。
硬化度
degree of cure
熱硬化性樹脂を硬化(キュア)させた場合の反応の進行度。硬化度は成形品の物性(収縮率、機械的性質、熱的性質、耐薬品性など)と密接な関係がある。
かさ比重
bulk specific gravity
物体の真の比重ではなく見掛け比重のこと。たとえば空隙などを含むペレット状の場合、ペレットの重さ(g)をそのかさ容積(㎤)で除した数字。
ガス抜き
breathing
圧縮成形の際に行う揮発分除去操作。熱硬化性樹脂の成形材料中には1~3%の水分を主とした揮発分が含まれている。
硬質プラスチック
rigid plastics
指定の条件のもとで曲げ弾性率又はもしそれが適用できない場合には引張弾性率又はもしそれが適用できない場合には引弾性率が700MPaより大きいプラスチック。注)材料は通常ISO291に従って標準の温度及び相対温度において分類される。
剛性
stiffness
こわさ、外力による変形に対する抵抗の大きさ。ねじりによる方法と曲げによる方法で試験する。
合成樹脂
synthetic resin
合成高分子の中でいろいろ配合材等を加え、プラスチックとして使用されているものに与えられた総称。
コンパウンド
compound
合成樹脂の原料に必要に応じて充てん剤、着色剤、安定剤、可塑剤などを配合して、そのまま成形に供することができるようにした成形材料。

さ行

サーマルショック試験
thermal shock test
物体を高温から低温へ、または低温から高温へ短時間に移行させ、その性能を調べる試験。プラスチック製品のメッキの密着度の検査などによく用いられる。
残留応力
residual stress
固定内部に蓄積された応力のことで形状変化やクラックの原因となる。射出成型では分子配向、可充てん、冷却速度の不均一など、熱硬化性樹脂の成形では、硬化度の部分的な違いや充てん材の配向による収縮の方向差などで発生する。内部応力(internal stress)ともいう。
スラグウェル
slug well
金型内でコールドスラグがキャビティに入らないよう取除くため、スプルー下端やランナーの末端等に設けた樹脂だまりのこと。
紫外線吸収剤
UV absorber
光化学的に有害な紫外線を吸収し、無害なエネルギー(大部分は熱)として放散させ、劣化を防ぐ物質。
自己消火性プラスチック
self-extinguishing plastic
炎と接触させたとき、炎の中では燃焼するが、炎を遠ざけると直ちに自ら炎をけすプラスチック。可燃性プラスチックでも難燃剤を配合することにより自消性にすることができる。
JIS
日本の工業標準化の促進を目的とする工業標準化法(昭和24年)に基づき制定される国家規格。JISマーク表示制度では、国に登録された機関(登録認証機関)から認証を受けた事業所が、認証を受けた製品又はその包装等にJISマークを表示することができる。
射出圧縮成形
injection compression molding
射出成形において、わずかに開いた金型に成形材料を充てんした後、金型を閉じる方法。内部応力や配向ヒズミの少ない成形品が得られる。又射出成形より低い型締力の成形機が利用できる等の利点がある。
真空成型
vacuum forming
シートを型の上にクランプしたまま加熱軟化させ、型とシートの隙間を真空にして、シートを型に密着させて成形し冷却後真空をきって成形品を取出す方法。真空の代わりにシートの上から圧縮空気で軟化シートを型に密着させる方法を圧空成形(pressure forming)という。
製造物責任(PL)制度
product liability
製品の欠陥によって生命、身体又は財産に損害を被ったことを証明した場合に、被害者は製造業者などに対して損害賠償を求めることが出来るという制度。
衝撃試験
impact test
材料のもろさ又は粘り強さを判定するための試験。方法としては試験片を衝撃によって一回で破壊し、この時のエネルギーを求める方法が一般的。アイゾット式、シャルピー式、落錘式等がある。
射出圧力
injection pressure
スクリュが前進して溶融材料をノズルから高速度に射出する際に材料に加えられる圧力(実際にはスクリュ先端にかかる圧力)。一般的に射出一次圧ともいう。
射出速度
injection speed
スクリュが前進して溶融材料を金型に充てんする時の速度。単位時間あたりの射出重量(射出率)、あるいはスクリュの前進速度などで表すが、一般的にはキャビティを充てんし終わるまでのスクリュの移動時間、即ち射出時間を測定して代用することが多い。
背圧
back pressure
スクリュが回転して材料の可塑化と混練を行い、これをスクリュ先端に送り込むとき、この先端に送られる溶融材料によってスクリュが後退するがこの際スクリュの後退方向とは逆に射出方向に働かせて樹脂を加圧する圧力。背圧をかけることよって材料の可塑化と混練の効果を高め、計量の安定化、溶融の均一化、着色の均一化や材料中のエア、ガス等を排出することが出来る。
サックバック
suck back
計量が終わったとき背圧がかかったままの状態ではノズルから溶融樹脂がはなたれを起こすので、スクリュを少し後ろにさげてシリンダ内の背圧を除去する操作。
スクリュ回転数
screw speed
スクリュ回転は可塑化を行い次ショット分の溶融樹脂をシリンダ内に送り込む時間で、この計量時間は成形品の冷却時間内に行うことが必要であるが、それ以上に回転数をあげて早く計量する必要はない。

た行

耐候性
weather resistance
プラスチックが屋外で使用される場合の日光、風雨、暑さ、寒さなど天候条件に対する抵抗性。
耐食性
corrosion resistance
化学薬品(広義には紫外線、風雨にも含める)の腐食に対する抵抗性のこと。
投影面積
projected area
成形品に型締方向に平行光線を当てた時に生ずる影の面積。これは成形に要する加圧力又は型締力の算定基準となる。

な行

軟質プラスチック
non-rigid plastics
指定の条件の下で、曲げ試験、又はそれが適用できない場合には引張試験による弾性率が70MPaより大きくないプラスチック。 注)材料は通常のISO291に従って標準温度及び相対温度において分類される。
熱変形温度
heat distortion temperature
荷重たわみ温度の旧称。誤解されやすいので現在は使用していない。
燃焼試験
combustion test
プラスチックの簡便な鑑別方法として用いられる試験。試料を炎にまず近づけ、次に炎に入れ、最後に炎から取り出して、その間の試料の軟化の有無、炎の色、煙、煤の出ぐあい、燃焼性の難易、自消性の有無、消えた後の煙のにおいなどを調べる方法。
粘弾性
viscoelasticity
粘性と弾性を兼ね合わせた性質、例えばつきたての餅に徐々に力を加えると粘性を示して流動し、急激な力を加えると弾性を示す。このように弾性と粘性の両特徴を持った挙動。ポリエチレン等も粘弾性をもつ。
ノズル反復
nozzle iteration
1ショットごとにノズルを金型から離すこと。ノズルが金型に常時接触していると金型に熱を取られ、ノズル先端にコールドスラグがたまったり、ノズル温度が変化したりするので温度に敏感な樹脂やスラグウェルの取りにくい金型形状のときなどにノズル反復を使用する。

は行

パージング
purging
成形加工において、加熱シリンダー内に残留する材料を他の成形材料に交換する操作。
比重
specific gravity
ある物質の質量と、それと同体積の標準物質の質量との比。固体、液体の場合は標準物質として4℃の水を用い、気体の場合は標準状態(0℃1気圧)の空気又は酸素、水素を用いる。
フィラメントワインディング法
filament winding method
強化プラスチックの成形法の一種で、樹脂を含浸したローピングを連続的にマンドレルに巻きつけて、円筒形の製品を一体成形する方法。
ブロー成形法
blow molding
押出機から成形材料をチューブ状に押出し、ただちに金型で挟んで内部に空気を吸込んで中空品を成形する方法。吹込成形又は中空成形ともいう。
ペレット
pellet
粒状化した成形材料。
ベント
vent
成形操作中に空気やガスをキャビティから抜出すために作られている溝や孔。通気孔(air vent)ともいう。
ベント式射出成形機
vent type injection molding machine
成形材料の予備乾燥を省く目的で考案された成形機。水分やガス分はシリンダにあげられた孔(vent)より排出される。
ホットスタンピング
hot stamping
金属蒸着又は着色剤塗布箔やフィルムから加熱加圧により文字や模様などを成形品やシートに転写する方法。
バリ
flash
金型の合わせ面(パーティングライン)に樹脂が流出し、固定化した成形品の余計な部分のこと
保持圧力
holding pressure
射出圧力によって金型キャビティが一応充てんされた後、ゲートが固化するまでかけておく圧力。バリの発生やオーバーパックを防ぐとともにキャビティ内の材料が冷却固化するにつれて発生する収縮に見合うように溶融材料をノズルから補給して成形品のひけを防いだり、成形収縮を率を調整したりすることもその役割である。一般に保圧といい、射出二次圧力ともいう。
保圧時間
holding time
保持圧力を保持している時間。ゲートがシール(固化)するまでの時間かけておく、保圧時間の長短は成形品の収縮率や残留応力、ボイド、ひけ、表面光沢などに影響を与える。
保圧切替
point where holding pressure is changed
射出圧力から保圧に切替えるときのタイミング。成形条件としては非常に重要である。充てん工程の速度制御から、保圧工程の圧力制御に切替える重要な制御で、充てん速度の最終段階でのスクリュ位置により行うことが多く、この切替位置を正確に行うことにより、過度な充てんを防止し、パッキングを適切に保つことが出来る。キャビティ内に90~95%位入った時点で切替えることが目安とされている。

ま行

マスターバッチ
master batch
成形するプラスチックと同種の材料に着色剤や添加剤を高濃度に配合したもの。成形時マスターバッチとナチュラル樹脂を混合して使用する。
メルトフローレート
melt flow rate
熱可塑性樹脂の溶融時における流動性を表す尺度。メルトインデックス(MI)と同義。

ら行

劣化
degradation,deterioration
製品が熱や光によって、その科学的構造に有害な変化を起こすこと(degradation)及び特に物理的性質に永久変化が起こって性質が低下すること(deterioration)。劣化(aging)ともいう。

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